六の宮の姫君の父は、古い宮腹(みやばら)の生れだつた。が、時勢にも遅れ勝ちな、昔気質(むかしかたぎ)の人だつたから、官も兵部大輔(ひやうぶのたいふ)より昇らなかつた。姫君はさう云ふ父母(ちちはは)と一しよに、六の宮のほとりにある、木高(こだか)い屋形(やかた)に住まつてゐた。六の宮の姫君と云ふのは、その土地の名前に拠(よ)つたのだつた。
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